東京藝大が中心となって産官学で取り組んでいる共創プロジェクト「共生社会をつくるアートコミュニケーション共創拠点」事業は、アートと福祉・医療・テクノロジーを融合させ、多様な人々と社会とを結ぶ「文化的処方」を開発し、孤独孤立や精神的貧困の解決に取り組むものです。
この事業に名張市も参画しています。
その一環として、一般社団法人「つなぐ」さんが、昨年から市内でさまざまな活動に取り組んでいる人から、活動を始めたきっかけや、なぜ続けているのか、これからやってみたいことなどを聞かせてもらい、それを書き残すという作業を行われました。その内容を基にして作られた演劇が3月15日に百合が丘の教育センターで上演されました。
東京のスタジオで俳優2人と音楽家1人が上演するものが、テレプレゼンシステムという遠隔映像システムを使って名張の会場に映し出され、聞き書きに参加してくださった方々や関係者が鑑賞されました。
劇が始まる前に東京と名張でジェスチャーゲームをしたり、途中には一緒にマラカスを鳴らしたりと、双方向でコミュニケーションを取る時間があり、語った人とそれを演じる人の間につながりが生まれたような気がしました。
私も何人かの方の聞き書きに同行したのですが、一体どうやってそれぞれの語りが一つの劇になるのかと不思議だったのですが、どんどん引き込まれていきました。「あの人のあの話が、この人のこの場面につながって…」と想像していなかった展開に驚きました。
普段みなさんはそれぞれに活動をされていますが、根底には「誰かが喜んでくれたら」や「名張が住みよくなれば」などの共通の気持ちがあるから、一つの劇になり、それが不自然でないのだと気づきました。
「名張の人ってほんまにすごい!」と改めて感じました。