人権相談力アップ研修会
「誰のいのちも人権も置き去りにしない社会をめざして
~社会的矛盾を鮮明にした新型コロナ問題から考える~」
10月19日(火)午後2時から、講師に反差別・人権研究所みえ 常務理事兼事務局長 松村元樹さんをお迎えして、2021年人権相談力アップ研修会を開催しました。会場は新型コロナ感染拡大防止対策を十分に取り、49名が参加されました。
コロナ差別は新しい言葉ですが、差別や人権問題も本質的に新しい問題ではありません。感染症によって、自分たちが差別を受けるなど考えもしなかった人々もコロナに感染することによって差別を受ける。この状況は、これまでマイノリティとさせられてきた人々が置かれてきた状況や心理的負担等を多くの人たちが「共感」できる状態でもあります。
冒頭、松村さんは、自身や家族が安心して生活していける社会、職場、学校とするために、「マイノリティ」が連帯し、差別の解決に向け、これまで以上に多くの人の力添えによって、あらゆる差別の解消につなげる「チャンス」を逃してはならないと話されました。
次に「新型コロナウイルス感染拡大防止対策分科会 偏見・差別とプライバシーに関するワーキンググループ(第三回)」の中から偏見・差別の実態と取組等に関する実態調査結果(三重県知事 鈴木英敬)をお話しされました。感染者やその家族が社会から差別を受ける事例、医療従事者が差別を受ける事例、県外在住者等に対する事例、ワクチン接種をしない人に対する「ワクチン差別」など自分たちの身の回りに実際に起こっている差別の実態を話されました。
新型コロナ差別がなぜ生じるかを考える必要があります。パンデミックの影響による社会不安の増大、ストレスの過重により人権状況を悪化させています。社会においてはハラスメント、家庭においては虐待などが増えてきています。
「2019年度人権問題に関する三重県民意識調査」で結婚相手がHIV陽性者、ハンセン病回復者の家族、難病患者だった場合、「迷いながらも結局は考えなおすように言うだろう、考えなおすように言う」が全体の67.4%回答でした。表面化しづらいですが感染症への差別は根深くあると話されました。
また、ハンセン病問題についても、未だに本名を名乗れない入所者、元患者や家族の人権被害についてお話しされました。2019年11月法改正によって、元患者やその家族が国家賠償を受けられるにもかかわらず、25%の人しか申請しなかったそうです。申請することによって受ける感染症への人権被害を恐れられたそうです。差別はその厳しさ故に声を上げられずにいるのが現実です。
さらに、「特権」について話されました。特権とは、与えられた社会的条件が自分にとって有利であったために得られた・得られるあらゆる恩恵。意識的に得られたものではなく、すでに備えている条件。努力しなくても備わっているものだと話されました。特権を持ってるがゆえに差別に対しての現実を見ようとしていない。コロナ差別は誰にも起こりうる社会の今、自分にできることは何かを考え行動するときです。差別は無くならないですが、「差別しない努力・差別を支えない努力・差別をなくす努力」を学び、実行する必要がある。それは差別がある限り、生涯にわたると教えて頂きました。
「誰のいのちも人権も置き去りにしない社会をめざして ~社会的矛盾を鮮明にした新型コロナ問題から考える~」について、マスクをしたままで長時間の講演をしていただいた講師の松村さんありがとうございました。参加して頂いた皆様ありがとうございました。心に響く研修会にしていただきました。。本日は、ありがとうございました。
【参加者のアンケートより】
・新たな知識の収得と自分の心、立ち位置をふり返るきっかけとなりました。
ありがとうございました。
・差別をする側、される側のどちらにも成りうるなと思うとこわいと思った。
意識して、差別をしないように、気をつけようと思った。
・新型コロナに関する差別、日本の属性について考える良い機会となりました
た。自分の中にある差別意識を見つめ直していきたいです。
・自分自身の中にある気づかない特権が、差別意識につながることに気づかさ
れた。